公貸権
◯ネット情報はなるべく利用しないようにしたいと思っていたけれど、毎日新聞のサイトにあった記事「共同声明:図書館貸し出し補償求める 文芸家協会など」という動きは大いにわだかまった。
記事によると、日本文藝家協会、日本ペンクラブ、日本推理作家協会、日本児童文学者協会、日本児童文芸家協会の5団体が8日、「図書館の今後についての共同声明」を発表し、文化庁や図書館関係団体などに送付したという。その内容は、(1)図書館予算の増大(2)専門知識をもつ図書館司書の増員(3)国家または公的機関による著作者等への補償制度の確立――の3項目だそうだ。(3)項にかかわっては「図書館の普及によって、国民の多くが本を買わずに図書館を利用することになれば、著作者の生活が成り立たなくなり文芸文化は衰退する」と主張しているという。イギリスやドイツなど10カ国以上が「公共貸出権」を認めて、著作者に補償を行い、イギリスの場合、年額15億円になるとも指摘しているらしい。
(1)(2)の要求はまっとうなものだ。しかし(3)は牽強付会もいいところではないか。イギリスの図書館予算がいくらで、そのうち図書類の購入額がいかほどかはわからない。15億円が多いのか少ないのかも判断が付かないが、日本の人口比に当てはめれば30億円は補償しろと言外に主張しているのかもしれない。
だが、文芸家協会の大御所さんたちは、すでに著作者としての経済を成り立たせているのではないか。細々と文筆活動をしている私のような弱小文筆業者からすると、補償などまったく考え得ない。何冊でもいいからとにかく図書館に購入してほしいぐらいだ。むしろ、限られた図書館予算が大作家の補償費として使われるようなことになれば、私のような零細業者の本こそがいっそう購入対象から弾かれてしまいかねないと危惧する。
まさに文藝家協会らの主張は、著作者間の対立を生み、弱肉強食を容認する強者の論理ではないか。図書館利用者である市民をも愚弄しているかもしれない。軽々に結論を出すつもりはないが、「公貸権」が強者(業界主流)の新たな既得権になるのは願い下げだ。
◯『出版をめぐる冒険』を読み、もっと出版業界の事情について知りたいという人に会った。某広告会社に勤め、ゆくゆくは社内に出版部門をつくりたいと考えているそうだ。起業家精神にあふれた30代の若者。私も元気をもらった。
◯年刊(?)『Z』の打ち上げに参加。海の幸などをごちそうになる。出席した図書館関係者の話に刺激を受けた。ときどき読んでいるブログの筆者との僥倖にも恵まれる。こんなふうにバーチャルとリアルがつながることもあるということか。ブログ初心者なので、トラックバックはまだ気恥ずかしい。そのうちここを知らせることにしたい。






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